she said / So Lonely but Never Alone (CD)

京都を拠点に活動する男女混合4ピース、she said。デモCDR、7インチに続く7曲入ミニアルバム!

Track List:
1. hatred feel
2. you bastard
3. dim shape
4. can't
5. He'll forget me
6. dizzy
7. scene



-レーベルインフォより-
2014年、スリーター・キニー復活。2015年、コートニー・バーネットによる雷撃の1曲" ペデストリアン・アット・ベスト"(と傑作アルバム)。とくると、オルタナティヴな感性、クールな佇まいと鋭い尖りを持ったフィメール・ロックンロールの気運を感じやしないだろうか。そして、京都で今にわかにその名を広めている、このバンドもその一端となるかもしれない。シー・セッド、〈セカンド・ロイヤル〉からデビューCDを手に登場だ。

ヴォーカル・ギターとギタリストに女性、リズム隊の2人は男性からなるメンバーは以下のとおり。

佐合志保(ギター/ヴォーカル)
愛須理保子(ギター/コーラス)
森岡誠也(ベース)
尾島海地(ドラム)

メンバーはいずれも大学生、ドラムの尾島はなんとまだ19歳と、疑いようもなく若者たちの4人組。過去にくるりやキセル、Limitede Express (has gone?)などを輩出したことで知られる、立命館大学の軽音サークル、ロック・コミューンが母体となっているようだ。結成は2013年と日は浅いながら、京都屈指のマンスリー・フロア・ライヴ、感染LIVE、ニュー・ハウスの京都公演、ベッド主宰による来来来チームの来京イベント、元Vivian Girlsのキャシー・ラモーン来日、さらに同バンドのベーシストであるケイティーのソロLA SERA来日公演と、幾つものエピックなイベントへと出演。さらに、自主制作デモCDRを発表する傍ら、マイルズ・アパート・レコーズからリリースされたカセット・コンピ『クリスマス・スモール・ギフト vol.2』に楽曲を提供。インディ・シーンにおいて、着実にその存在感を高めていっている。

今作は、彼女たちにとって初の全国流通作。ホームカミングス、ホテル・メキシコなどでおなじみ、シー・セッドが結成間もない頃からバンドを評価してきた、京都のインディ・レーベル〈セカンド・ロイヤル〉からのリリースとなった。

収録された7曲を通じて、まず耳を奪うのは、シンプルなラインを基本としながらも、微細な変化を積み重ねていくことで、最終的には聴き手に深いエモーションを残すメロディ・ライン。また、つねに濃いブルーを舌に抱え、歌うことでそれを吐き出さずにはいられないといった、佐合のヴォーカルもこのバンドの宝だ。胸を焦がさずに聴き通すのは難しい。

しっかりと土台を支えるリズム隊、たえまなく重なって、なかなか晴れ間を見せることのない、曇天の空のごとき2本のギター・アンサンブルは、オルタナ・ギター・バンドとして、申し分のないかっこよさをすでに会得している。実はやれるバンドが少ないミッド・テンポでしっかりと高揚させるパワー・ポップ名曲"dim shape"。縦横無尽なギターの絡みと、色気あるヴォーカルが狂おしいほどにかっこいい"you bastard"。ポスト・ロック的な流麗なアンサンブルが新鮮な"dizzy"。さらに、今作屈指の軽快なポップ・チューンである" He'll forget me "など、収録曲の幅にも瞠目だ。

第一世代というべきアクトたちが、ひとしきり出揃ったことで一見少し落ち着きを見せているかのようにみえる国内インディ・シーン。だが、華やかな舞台の地下では、多くの若きミュージシャンが、それぞれの音楽性をそれぞれの色でひたすらに濃くしては、さらなる百花繚乱の様相を見せつつある。地表深くでじわじわと温度を上げ、放たれるのを今か今かと待つマグマのように、アンダーグラウンドの熱量はかつてないほど高まっているのだ。ノット・ウォンク、フル・ティーンズ、スース、サトア、ワナ・ゴナ、本日休演、余命百年といったバンドらとともに、このシー・セッドも新しい地殻変動を起こす立役者となるだろう。このCDは、その最初の亀裂となるべき1枚だ。
(text by 田中亮太)
型番 Second Royal (JPN)
在庫状況 SOLD OUT
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